フラグ・クラッシャー 勝一 2《フラグ繚乱乱舞編》

作者小坂広夢

この世には《フラグ》と呼ばれる物がある。映画や小説などで《伏線》と呼ばれる物だ。

例えば恋愛モノのマンガで、通学中の曲がり角でトーストを口に咥えた美少女と衝突したり、実はその子が転校生でたまたま自分と同じクラスになったりすると、その二人は大抵付き合う事になる。

更には、たまたま空いている隣の席…

この世には《フラグ》と呼ばれる物がある。映画や小説などで《伏線》と呼ばれる物だ。


例えば恋愛モノのマンガで、通学中の曲がり角でトーストを口に咥えた美少女と衝突したり、実はその子が転校生でたまたま自分と同じクラスになったりすると、その二人は大抵付き合う事になる。


更には、たまたま空いている隣の席がその子の席になったり、転校初日から喧嘩して険悪な関係になったり、実は二人は幼馴染で小さい頃に結婚の約束をしていたりしようものなら、これはもう成婚率100%のフラグである。


これらはいわゆる《恋愛フラグ》と呼ばれ、一般的にこのような状態は《恋愛フラグが立った》と表現される。


一度フラグが立ってしまえば、それを避ける事は不可能に近い。いかにそのフラグを回避しようとしても、まるで誰かに仕組まれたかのように、半ば強制的にそのフラグを回収する事になる。


そして、フラグを立てる事はとてつもなく困難である。自分が望む理想の未来、《幸福フラグ》を立て、回収する事は限りなく難しい。様々な障害がその道を阻み、その未来への想いが強ければ強い程、その道は険しくなるのだ。


それはまさに《運命》であり、フラグとは、神から我々人類に与えられた試練であると言っても過言ではない。




−だが、その運命をへし折り、人々に幸福をもたらす事を使命とする者達がいた−