友人が突然、この世を去った。そんな現実から逃げるように僕の知らない彼の思い出を求める。そんな中で彼の言葉を思い出していく。彼のいなくなった世界を生きる僕の話。
「生まれ変わりって、信じるか?」
いつもの公園で彼はそう言った。
「もしあるなら、俺は」
そう言った彼はもういない。残ったのは少しの思い出だけ。彼との時間はまるで春の儚い樹が咲き誇るようにあっという間だった。
すべてが散った樹を僕は見上げた。緑すらも失った樹はすべての活動が停止しているようだった。もう何もない。
散ってしまった彼の思い出が綺麗で、僕は拾い集めることにした。