ゴッドオブアズマ

作者うどん大輔

2020年東京ー
「ねえ、知ってる?亜矢ちゃんママも見たらしいんだけど」
 様々な問題を抱える現代日本の首都。社会に悶々と生きる人々の間には、怪人と呼ばれる謎の存在がまことしやかに囁かれていた。
「お前の周りにある悪いことは、全部、怪人のせいだ」
 ある日を境に、次々と現れ、人々を襲うようになった…


「ヒーローも、怪人も、実際に存在している」

 都内では、謎の爆発事故が多発しており、その裏で正義のヒーローと怪人の存在が、都市伝説として広まり始めていた。

 そんな頃、不運にも本物の怪人に遭遇してしまった特撮ヒーロー嫌いのいじめられっこ小学生、剣翔太。彼の前に謎のヒーローが現れた。そのヒーローはある言葉を残し、翔太の前を去る。

 そしてマッドハッターと名乗る怪人率いる怪物の軍勢が出現し、都内の平和を乱し始める。防衛庁直下のヒーロー組織「緋色の舞台」はその対策に手を焼くが、それと同時に、非登録の変身ヒーローによる怪人狩りが行われていることが報告され、該当ヒーローが組織内で手配を受けることに。

 緋色の舞台の末端に属する沢井和孝は、昼間は引きこもりのニートだが、夜は怪人狩りをするヒーローだった。しかし、最近成績が悪く、降って湧くように出現する岩石男を何とか倒して収入を得ていた。3度の敗走により、変身システムを剥奪される仕様になっているのだが、彼はそのもうあと一歩手前まで来ていた。先輩ヒーローの本郷松茂を頼りに、彼の会社に所属することになるが、最初こそ喜んだもののだんだん時間が経つにつれて彼の考え方に反感を抱きながら、彼の身の周りの世話をするようになる。

 一方、怪人出現事件後も剣翔太は相変わらず学校ではいじめを受けていた。傷だらけのまま下校をしていると、一人の男に声をかけられた。彼は矢倉透と名乗り、ボランティア活動とボクシングジム経営をしているという。彼は翔太にボクシングジムへ入会することを勧める。翔太は迷いの末、ボクシングを始める。彼の成長はめざましく、異常なほどの成長を見せた。今まで歯が立たなかったいじめっこたちを返り討ちにし、学校で問題になってしまうほどであった。母親が呼び出され、矢倉には窘められてしまう結果に、納得がいかなかった翔太だが、ただ一人彼の蛮行を讃えるものがいた。それが幼なじみの門脇想であり、彼女は彼をヒーローと呼んだ。

 そして、同じ頃、再び渋谷に謎の怪人マッドハッターの影が現れ、有力なヒーローたちが次々と餌食になっていた。