瀧田音楽大学でバイオリン専攻の将生は、容姿端麗で超絶技巧を巧みに弾きこなす華のある生徒。だが頭の中で音楽が流れ出すと所かまわずバイオリンを弾き出してしまう習慣があり、女性にモテるが愛想をつかされることも多く、また不規則な生活を送っていた。
憧れのバイオリニストがギターも弾く事からギターも弾ける将生は、助っ人ギターのバイトもしていた。
将生と同じバイオリン専攻の同級生で親友の有朋は、真面目で優しい性格から将生の面倒をよく見ていた。将生に振り回されながらも一緒にいる事が多かったが、楽譜に忠実に弾く事を大切にする有朋は、正反対の将生に対し憧れと劣等感を感じていた。
だが将生は、有朋の美しいバイオリンが大好きだった。
レコード会社に勤めるロック好きの葉月は、全く知識が無いクラシックの宣伝担当に配属され、ミスの連発で毎日苦労していた。
ある日ついにストレスが爆発し、たまたま目の前にあったライブハイスに寄ると将生が出演しており、その演奏に衝撃を受ける。
また、酔った葉月は居合わせた人達に仕事のグチを話すが、クラシックの初歩的な事を聞かれても答えられず、そんな自分にショックを受け、少しづつ意識が変わり始める。
将生が行きつけのバー「トッティ」で本郷音大のピアノ科の航と知り合う。航はオペラ好きでコレペティとして歌手とばかり練習していて楽器伴奏に興味が無かった。
将生は航の演奏に我慢が出来ずピアノに合わせバイオリンを弾き出すと、航は魅力的な将生のバイオリンと楽器との合奏の楽しさに惹かれだす。
ある日、有朋は大学の先生から知人のパーティに3人組アンサンブルのバイトを頼まれる。とりあえず引き受け、将生に任せようと声を掛けると、将生は有朋と航とやりたいと言う。有朋は航は誰?と聞きつつも、その申し出を断る。
将生は有朋をトッティに連れて行き航の演奏を聴かせると、有朋もそのピアノに感動する。
将生は有朋に航を紹介し、3人でバイトをしようと改めて話す。航は受けるが有朋はそこでも断る。何かを察した航は有朋に自分と合奏しようと提案する。
有朋は戸惑うが聴きたくて堪らない将生は強引に弾かせると、二人の合奏は素晴らしい音色になる。将生は我慢できずにバイオリンを持って参加すると、とても見事なアンサンブルとなり、有朋は3人でのバイト演奏をやりたいと言う。
葉月はもう一度将生の演奏を聴きたくて探していたが見つけられずにいた。
そんな中、偶然仕事先のパーティ会場で将生を見掛けるが、声を掛けられずに見失う。
将生は3人でのアンサンブルに改めて手ごたえを感じ、有朋と航にユニットを組まないかと提案する。