物語全体のあらすじ
脇坂渉(25)は一流大学を卒業し、一流企業に勤め、さらには自慢の美しいフィアンセ東海林綾乃(23)がいる。
誰しもが羨む勝ち組として人生を謳歌していた。
彼に怖いものなどない……はずだった。
しかし、彼には隠したいものがあった。渉をろくに育ててこなかった母親の存在。
その母親が渉の前に現れ、金の無心にやってくる。
そんな母親の存在に腹を立て、母親のことで頭がいっぱいになっていた渉は、交通事故にあってしまう。
これから! という、彼の順風満帆の人生は25歳で終わってしまった……。
成仏なんぞできるわけがない! 彼は幽霊になってしまった!!
しかし、幽霊になったとて、どうしていいか分からない。
そんなとき
渉は悪霊のような人間に取り憑かれてしまった!!!
そこには優しそうな和尚様がいて、どうやら東雲の呪文は和尚が教えたらしい。
和尚曰く、東雲はいわゆる霊感なるオカルトちっくな能力の持ち主だそうで、幽霊である渉が見えるし、なんと幽霊である渉を、拘束する力まで持つらしい。
その能力に苦労することもあって、よくこの寺を訪れるそうだ。
渉は東雲の家に連れていかれる。
女性の一人暮らしとは思えない汚いアパート。東雲の身なりは25歳の女性とは思えない無頓着さで、地味そのものだ。
渉は東雲に「会社のムカつく人間を殺して欲しい」と頼まれる。どこかで見たことのあるノートなるものまである。
なにしろ、渉は東雲に拘束されている。当然答えはノーだが、とりあえず聞いたふりをする。そして、渉は東雲に交換条件を出す。「今までお世話になった人を幸せにしたい」と。
東雲の会社に渉が同行すると、東雲は会社でよく仕事をし、周りの同僚たちも東雲を大切に思っていた。
渉が和尚に話を聞くと、霊能力のことで、幼少のときにブリッコだの、嘘つきだのと、少しイジメられたことがあり、疑心暗鬼になっているところがあるそうだ。
そんな過去、とんでもない母親を持っていた渉にとっては小さなことだ。
東雲と一緒にすごしていくうちに、彼女が心根が優しく、みんなに愛されている存在であることに渉は気づく。そんな彼女に惹かれていく一方で渉は嫉妬のようなものを覚える。
反対に「みんなのことを幸せにしたい!」と言っていた渉の存在は、いろいろな人がどんどん忘れていく。
きわめつけに、渉はフィアンセである綾乃と親友がキスするところを目撃してしまう。
渉は東雲にいう。
「あの二人を殺してくれないか?」
渉は悪霊になってしまうのか!?