物語全体のあらすじ
雨が降る夜の路地裏。女性警察官のエマ・ルーナ(20)は自分の無力さに打ち拉がれて泣いていた。
突然、目の前に光り輝きながら男が現れ、エマは驚く。男は地球から転生してきて記憶喪失になっていた。
男を家に泊めることになったエマだが、男がもっていた能力に衝撃を受ける。男を利用したいエマは自分のパートナー（捜査協力者）になってくれないかと頼む。色香に惑わせ、男をパートナーにしたエマは男の名前をセンタ・ワトソンと決める。
センタのもつ『透明化』、『透過』、『変身』の能力を利用すれば捏造・盗聴・盗撮など様々な違法な手段をばれずに用いることができ、法で裁けない犯罪者を追い詰めることができるとエマは希望を抱く。
だが、センタに興味を持ち近づくフラー・ガブリエル(21)を見て、自分以外の女にセンタを奪われるかもしれないと危惧したエマはセンタを自分のものにするために籠絡しようと画策していくことになる。
センタはエマと一緒に行動する中で、犯人への敗北によって歪んでしまった強すぎる正義感をもっているエマが垣間見せる危うそうな面に一抹の不安を覚える。犯人に報いを受けさせるためなら手段を選ばないと考えるエマは違法な捜査にセンタを協力させる。
証拠を捏造して犯人に勝利し勝ち誇った笑みを浮かべるエマ。そんな勝利に心が晴れないセンタは浮かない表情をする。そして、エマはセンタを誘惑していき、センタはエマを意識していく。
日本と違って異世界では警察官が犯人を逮捕するだけでなく裁判にかけるまで担当したり、警察の中に刑事という名称の階級が存在して、刑事は犯罪の捜査だけでなく要人の護衛や武装集団の制圧を担当したりするなど、ありとあらゆる警察関連の仕事を任される。
エマとセンタは考えの違いから任務で衝突したりする。やがて、エマが犯人を撃ち殺してしまう。様々な任務はセンタに苦悩と葛藤をもたらすことになる。
そんな中で、エマはセンタに恋してしまう。エマの誘惑は「利用するための誘惑」から「結ばれるための誘惑」に変わり、フラーに触発され、さらに大胆で過激なものになっていく。
エマの違法な手段が通用しない犯人が現れ、エマは犯人を処刑するために何の罪もない人たちを犠牲にする。増長するエマに恐怖を覚えるセンタは「エマが壊れていくのは自分のせい」と思うようになる。
証拠捏造などの違法な捜査がおこなわれていると、エマに逮捕された多くの者が主張しており、上層部に目をつけられるエマ。警察官であり続けるためにエマは上層部を壊滅させようと動きだす。