物語全体のあらすじ
「あなたを消滅させたいので、あなたについて教えてください」
高校生である夢崎千は正面に立つ男性にそう言った。
男性は協力的な姿勢で自身のことについて話し始める。
一見すると不可解なやり取りであるが、二人は本気である。
一ヵ月前、千は偶然にインターネットで『WORLD MANUAL』というファイルを見つける。
そのファイルには『望みが一つだけ叶うかもしれない方法』、『トレースする力を得る方法』、『消滅させる力を得る方法』、『叫びが聞こえる力を得る方法』、『悪意を感知する力を得る方法』、『追体験する力を得る方法』が記載されていた。
馬鹿にしながらも方法が簡単なものであったため千は試す。
すると、千の望み通りに美少女の姿をした異次元の存在であるトモと名乗る自分だけの友達が目の前に現れる。
衝撃を受けた千はWORLD MANUALに記載された方法が本当であると確信する。
五つの特別な力を手に入れた千は、人の役に立ちたいと考えるようになっていく。
しかし、トモは特殊である力のリスクにいち早く気付いて不安を感じ始める。
千の見つけた説明書は『WORLD MANUAL No.3』というファイル名だったので、他にも説明書が存在すると予想した千は人助けの傍ら、別のファイルを探し始める。
他者が抱える問題を解決することで人から感謝され千は喜びを感じるが、自分の力を過信することにつながっていく。
千の人格面に現れる危うい変化の兆しを感じトモは心配する。
やがて、特別な力のマイナス面が千を闇に引きずり込んでいき、トモが抱いていた懸念が現実のものとなってしまう。
力を得たことで千の日常は大きく変わったが、恋によっても新たな変化が生じ始める。
胸をくすぐるような恋に揺れる千。
日常の変化は止まらない。事件に対して千が力を使ったことで、不可思議な点に興味を持った切れ者の警察関係者が千を探し始めたのだ。
そんな中、『WORLD MANUAL No.9』のファイルを見つけた者が力を悪用し始める。
それを千は止めようとするが、警察が逮捕することのできない完全犯罪も可能な相手の力を前に究極の選択を迫られることになってしまう。
その事件によって千は大きく変わることになる。
さらに、千は自分と同じ説明書を見つけた少女が接触してきたことで恐怖を感じる。
少女のことを脅威に思った千は、自分を守るために行動し始める。
恐怖に染まっている千は取り返しのつかない方向に進んでいこうとする。
そして、警察関係者が千の前に現れる。