二十四歳の玉倉いのりは駆け出しのゲームシナリオライター。恋愛シュミレーションゲーム「金欠姫と7人のセレブ(通称:7セレ)」に登場するキャラクター・ココに恋をしたことがきっかけで、「7セレ」の運営をしているゲーム会社に入社した。
現実の恋愛と距離を置くいのりにとっては、ココが最愛の恋人のようになっている。生来の空想好きの性格もあり、いのりは頭の中でたびたびココと会話をしては助言をもらっていた。
そんないのりの憧れは、先輩である榛名こころ。仕事ができて美人な榛名のようになりたいと頑張るいのりだが、乙女ゲームシナリオのキモである、キスやハグなどのラブシーンが上手く描写できない。
いのりの書いたシナリオを読んだ榛名の先輩・夏目は「心から誰かと愛し合ったことがあるか」といのりに問いかける。その言葉がきっかけで、いのりの心の傷があらわになり――。
乙女ゲームのシナリオライターであるヒロインが、仕事や恋を通して成長していく姿を描いた長編小説です。