読み聞かせ令嬢の誤算

作者有沢真尋

つつましく生きて来た貧乏貴族のリジ―。
このたび晴れて決まった勤め先は、なんと第三王子の家庭教師!
 
(絶対にこの仕事、ものにしてみせる! 貧乏生活脱出!)

強い決意を胸に王子のもとに乗り込んではみたものの、待ち構えていたのはたいへん麗しく、たいへん意地悪な王子様で……


表紙写真:アニック…

「家庭教師など俺にはいらない。邪魔だ。失せろ」


 麗しく、いけすかない王子の冷酷な声が響く。

 私は優雅に微笑んで、スカートの裾を摘まみ上げて挨拶をした。

 聞こえなかったふりして。

 ガン無視して。


「どうぞよろしくお願いします!!」

 生活かかってるし、追い出されている場合じゃないので!!