「お忘れなきように。あなたの隣にいるのは世界を滅ぼす災害現象。
指先一つで地球を滅し、気まぐれ一つで世界を殺す。
破滅の使者、破壊の大王、人知及ばぬ災禍の化身。
世界を終焉させる力を備えた人類の仇敵なのですから」
「ユキが一緒に居てくれないなら世界滅ぼす!!!」
「これもう詐欺でしょ」
ひょんなことからイケメン幼児大魔王をべた惚れにしてしまったユキ(二十代OL)。
嫉妬でカフェを倒壊させ無邪気でマンション大放火を引き起こす恐怖の大魔王・アルを、ユキは立派に育て上げられるのか。世界は滅ばずにいられるのか。その被害総額はいかほどか。ユキの胃袋は耐えられるのか。菅原さんのテヅルモヅル愛はどこから来たのか―。
今、一般通過モブ女・ユキの世界(と自分の胃)の命運を賭けた一世一代の育児が始まった!
……という感じの、人間に恋した人外のなんちゃってSF(すこしふしぎ)物語です。
「ところで結局魔王ってなんですか?」
「説明を始めると長くなるのですがまずは神話の類似性についての講義をしましょう曰くバナナ型神話というのは東南アジアやニューギニア周辺で見られる神話体系ですがその地域にとどまらず全世界的に同様の類型の神話が見られますまた必ずしもアイテムはバナナではなく人間ことに女性の二者択一も多くたとえば創世期においては」
「やっぱいいです」