その日、公爵令嬢のアリシアは失恋した。手に入れられると思ったものが失われることが、こんなにつらいなんて。涙が止まらないアリシアに、執事のヒューゴは柔らかく、彼女を包み込むように囁いた。「お嬢様のそのようなお姿、私も心が痛みます。よろしければ、おまじないをかけてさしあげましょうか?」※…もっと見る
こんなに苦しいなら、感情なんていらない。
これから先、悲しみにとらわれることしかできないのなら、
誰かを憎むことしかできないのならば、私は──。