「――俺を騙すのは楽しかったか?」冷たい目で見下ろすのは、美しくも冷酷な魔王。震えながら見下ろされるのは、勇者――の双子の姉であるだけの、なんの力もない私。かつて吐いたひとつの嘘が、すべてを歪ませてしまった。
「どうして俺の前から逃げ出した」
「俺はずっと、君だけを探していたのに」