とある理由のために旅をしている女性、セイカ。彼女は凶暴な獣に襲われている現場に偶然居合わせ、小国の女王を助けることになる。そして剣の腕を見込まれたセイカは、女王から帝国に攫われた妹の救出を依頼される。王女の従者、火夜と王女の足取りを追うことになったセイカはやがて、自身に秘めているものと向き合うこと…

五〇〇年前に滅亡したある王国。


それは、ある一族と決別した人々の集団だった。


初代女王もまた、彼女とおなじく聖なる華を抱き、大地に立つことを決断した人のひとりだ。


彼女はなにを想い、なにを成し遂げようとしたのか。


おとぎ話に秘められた訴えは、未来永劫明かされることはないだろう。これは訴えた本人にしか知り得ない意思なのだから。


しかし、いずれ同等の志を持つ人があらわれる。


彼女がきっと、そうなのだろう……