Karte.9  民俗学の可不可―奇習

清濁入り混じり、かなりの苦痛を伴う物語でした(泣)。
村のしきたりという、究極の洗脳と同調圧力。

この狂った常識に怒りしか湧かないはずなのに……。
果たして、現代の日本における社会の常識こそが正しいのだ――と言っていいのかという問題提起を突きつけられたような気もします。

人は生まれ落ちる場所を選ぶことができないのだとするならば、育つ環境の中で善悪の基本を植え付けられてしまうものなのかもしれません。
土着思想の危険性や現代社会における問題点。どちらが可でどちらが不可なのか。そしてそのボーダーラインとは……非常に悩ましいです。

清廉な少女に襲いかかる悪夢のような出来事が、この村の暗部をより際立たせていて……もうなんか、ひたすらもやもやします。
あぁ!もやもやもやもや……!

けれども、春名先生、仁君、サラサの心の動きや思考の差異、恋という名のホルモンの罠など、別の角度からも楽しめて、一粒で何度も美味しい物語でした!✨
やはり竹比古さんは天才です!