入学当初、誰もがその姿を一目見ようと窓から身を乗り出し、隙あらば声を上げた。


『 東堂 律 』


すらりとした高身長に小さな顔。

少し重めな前髪をかきあげサイドに流し、少しキツそうな目元と、ぽってりとした小さな唇がギャップを作る。

細い体に長い手足。

モデルみたいな容姿。

しかし、ほとんど口を開かない。


そんな彼に、入学式1番に声をかけたらしい男子生徒。



『 長谷 晃大 』


彼と同様高身長で、彼よりもガタイがいい。

ガテン系とまでは行かずとも、体育会系。


癖っ毛の髪を彼よりも長く伸ばし、そのくせあまり見た目に構うことなく無造作に掻き上げられたまま、髪の隙間覗く瞳は、雑に染められた茶髪と同様、茶色で目尻が少し下がっている。



整った顔立ちの優等生 東堂 律

甘いマスクの体育会系 長谷晃大


そんな彼らと一年、波乱のど真ん中で生きていた女子生徒。


『 長谷 杏里 』


長谷晃大の双子の妹。

二卵性だから見た目は似ておらず、小さくて大人しくて地味な女の子。

弱くてよく虐められていたらしい杏里を晃大が守っていたとか、そんな晃大の友達である東堂律と付き合っているとか、そんな噂が学校中を飛び交う新学期。




地味な印象しかなかったアンリと、高校2年の春。


前後の席となった。


それから2ヶ月経った後の話…ーーー