『ーそうして僕らは、難題を解く。』

作者夏目 乱歩

家族には、
それぞれ役割がある。

父は働いて、
母は子供を愛し、家事をこなす。

僕には兄としての役目があって、
弟には何の役目がある…??


ーこれは長い時間をかけて、
ゆっくりと、僕が君との関係を解く話。

ー僕の弟は、

昔から無欲だった。




珀「お兄ちゃん、リンゴ食べる??」



赤い、林檎。


茅「…ううん、大丈夫だよ。珀が食べな。」


珀「…。」



僕の返答に珀は、


少し寂しそうな表情を見せた。



ーそして、何を思ったのか、

再び唇を開く。


珀「ーそれじゃあ、一緒に食べよう!」


茅「…!」


僕と違って、無欲な弟のことを見ると、

自分がすごく駄目な人間だと感じるから、


僕は家族なのに、弟のことを、

愛せていなかった。



茅「ふふ。」


珀「おいしいね!」


ー弟に問いたい。


欲しいもの、

誰にも譲れない大切な"何か"は、

お前にはないの??



珀「ふふっ。」


茅「…。」




『ーそうして僕らは、難題を解く。』