ー僕の弟は、
昔から無欲だった。
珀「お兄ちゃん、リンゴ食べる??」
赤い、林檎。
茅「…ううん、大丈夫だよ。珀が食べな。」
珀「…。」
僕の返答に珀は、
少し寂しそうな表情を見せた。
ーそして、何を思ったのか、
再び唇を開く。
珀「ーそれじゃあ、一緒に食べよう!」
茅「…!」
僕と違って、無欲な弟のことを見ると、
自分がすごく駄目な人間だと感じるから、
僕は家族なのに、弟のことを、
愛せていなかった。
茅「ふふ。」
珀「おいしいね!」
ー弟に問いたい。
欲しいもの、
誰にも譲れない大切な"何か"は、
お前にはないの??
珀「ふふっ。」
茅「…。」
『ーそうして僕らは、難題を解く。』