高校生になった心結椏。その彼女が、とある彼らと関わりを持ってしまったことによって、全てが変わってくるお話です。残酷描写あり。性的描写も少しあり。それでも必死に生きて行く、彼らの姿を目に焼き付けていただければ幸いです。


―ねぇ、何でこんなことなってるの?

 

 冷たくて暗い部屋


 目の前にいるのは、


 かつて笑顔が素敵だった男の子―











あぁ、もう本当、毎日よく混むなあ。

何で一本道なんだろ?


この道は学校の裏手、グラウンドに入る一歩手前。

両脇にはフェンスで囲まれた自転車置き場があり、自転車通学のものは大抵ここを通ることになる。

けれど、登校時間が近づいてくるにつれて、次第に人も増えていくので、毎朝ここを通る者は一苦労だ。




「おはよう、結椏」

「明日美」

「こんなところで何じっとしてんの?」

「いや、人が凄くて・・・じっとというか動けないだけ。」

「もう!無理にでも通らないと遅刻しちゃうよ?」




人が多く、どうしようかと思案していた私の手をつかむと、彼女は前へとぐいぐい進んでいった。

高校に入って出来た、強引だけども、優しい友人。

人見知りだった私に、声をかけてくれた最初の人。

彼女の後ろを少しだけ振り返り、相変わらず人でごった返す道を見送る。

世話しなく、でもどこか楽しそうに通り過ぎていく生徒たち。

前に視線を戻せば、人ごみの中、グラウンドの小道に入るとその横には部活棟。

自然とそのこじんまりとした棟に目が向いた。

二階の窓際に人影がいるのが見えたから。

始業30分前のこの時間、誰かがいるのは珍しい。

反射した窓ガラスでよく分からないけれど、制服からしてきっと男子生徒だ。

でも、その姿は、どこか寂しそうに私の瞳には写る。



「ほら、結椏。ちゃんと前見て。」

「う、うん。ごめん」


明日美にせかされた私は、前に向き直ると彼女のあとに続いた。

その男子生徒は、ほんの一瞬だけ私の脳裏をかすめただけで、次の瞬間には忘れてしまう。



―これが彼と私と、たくさんの人間を巻き込んで起こる悲劇の始まりだとも知らずに・・・






                  「お前は、ただの暇つぶしの道具だ」




                                                                   「アハハッ人形が何いってんの?」




      

                                  「あなた・・・何も知らないのね」






                      

                      「俺に触れるな!!」