秘密の扉が開いたとき、白い花は咲き始める

作者泡沫。

獣人が存在する国、エルオナ。そこでは大きな壁によって、人間と獣人の住む場所をわけられていた。そんな国で生まれた少女マリーは、生まれて間もない頃に両親を亡くしていた。16歳の誕生日を迎えた日、育ての親であるフラメル夫妻から、母親“ミラ”の日記とペンダントを渡されると同時に、「マリーの両親は獣人に殺さ…

他の獣人とは何か違う。

こんなに優しいなんて、知らなかった。




「プリムローズの花言葉は“運命を切り開く”とか “永続する愛情”っていうのがあるんだよね」

「いい匂いだな」



「頭、撫でてくれるんだろ」



「ルイスは夜がよく似合うね。静かな月みたい」

「ならマリーは花だな」




こんな日々がいつまでも続けばいいと思っていた。

なのに……。




「……逃げるなマリー。これが現実で、獣人と人間の歴史だ」

「ルイスだけは他の獣人と違うと思ってた……。でも結局ルイスも人を殺すんだね……」

「お前がいくら信じようと、俺は獣人だ」




想い合う二人を引き裂くかのように、人間と獣人の対立は酷くなっていく。

二人が一緒になる日々は来るのだろうか__。