【作品のねらい】
古来、日本人は一木一草にも魂が宿ると知っていた。現在でもようやく樹木たちには知性があり、情報のネットワーク能力があることがようやく解明されはじめた。だがしかし、すでに容赦ない土地開発、伐採、ダム建設などで屍となっていく樹木の危機は、生態系と土壌環境を損ない、大災害、気候変動を引…
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地球誕生の折、生命の素から、動かずに進化を決めたものは樹木となり、動いて他の惑星からの者とも交わり進化を選んだものは人類となった。樹木と人類は元は兄弟。どちらが滅びても共滅する。だが、かつての記憶を失い、物質開発優先の人類は危機に気づこうとしない。古来、一木一草に霊が宿ると知っていた日本人にも、もはやすべての樹木たちからの様々なサインは通じない。ついに樹木たちは“ある者”に白羽の矢を立てて託した。今ある長老古木たちを存続せしめた紀州の男、知の巨人、生物界と繋がる男、南方熊楠。宇宙にて眠れるその脳を起こす。再びわれらの森林を守れ!と。脳はめざめた。樹木を神としてきた紀の国の原住民族名草一族の子孫である娘みわと『同調』しながら、この国の立て直しを図る。が、事態は深刻で根深く、こともあろうに皇室領のはずの山までも密かに華僑たちに売買されんとしていた。「国まで売り渡そうとするのか!?」怒り狂って真っ赤に膨張してゆく熊楠の脳は修羅と化し、粘菌、地衣たちに人類を覆い尽くさせんとするその時!クルクルと回りながら小さな光が。誰にも止められなくなった脳に呼びかける。「お父はん」…「クマヤ?!」