舞台はクラパカ王国。数多の動物を支配するのは、人間。千年前、人間は全動物の細胞を改造した。野生を封じ、「人間への絶対服従」を動物の本能に染み込ませた。五本指、二足歩行で、人語を喋る動物たち。容姿も人間に近い。輝かしい野生の時代は遠い昔のことに。
 王国最速を争うのは、一大興行、競馬大会で走る競走…

ストーリー概要および物語の設定


 舞台はクラパカ王国。数多の動物を支配するのは、人間。千年前、人間は全動物の細胞を改造した。野生を封じ、「人間への絶対服従」を動物の本能に染み込ませた。五本指、二足歩行で、人語を喋る動物たち。容姿も人間に近い。輝かしい野生の時代は遠い昔のことに。

 王国最速を争うのは、一大興行、競馬大会で走る競走馬たち。王族お抱えの八家の「血闘馬」である。

 主人公ヘシスは「血闘馬」クロフォード家の代表として二本足でひた走る。しかし連戦連敗。同家は「血闘馬」の地位を剥奪され、没落してしまう。厳しい父の元、一族の命運を背に走り続けてきたヘシス。彼には「走り」しかなかった。だが、もう走る舞台も目的もない。

 そんな彼の前に現れたフクロウ、バン。バンは言った。

 「君は本当に走っていたのかね?」

 バンに連れていかれた先は闇に包まれた巨大な峡谷。口にした真紅の液体、「アニマル・ハイ」がヘシスの体を駆け巡る。蘇る何万年もの野生の記憶。峡谷は、熱気と喧騒と血の匂いに包まれた野生の世界、「ブラッドレース」の舞台と化していた。

 まさに最高のハイ。従うのは本能だけ。四肢を唸らせ走るのみ。「本当の走り」、ここにあり。