紙上の雪がとけるまで

作者青沼 絢

 新人作家の揺香は、初恋の先輩が忘れられず『先輩』をモデルに恋愛小説を書いていた。
 しかし、担当編集者の広瀬に、モデルの正体がバレてしまう。
 戸惑う揺香に、広瀬が明かした秘密とは?
 そして現れた『先輩』と生き写しの男の正体とは?

初恋×才能×三角関係
純度高めの淡色ラブストーリー

 新人作家の揺香は、初恋の先輩が忘れられず、『先輩』をモデルに恋愛小説を書いていた。

 ある日、突然担当編集者の変更を告げられるが、新担当者の広瀬は男性。

 苦手意識を感じる揺香だが、真摯な態度に次第に心を開いていく。


 新作の打合せ中、登場人物の男性がどれも似ていると指摘された揺香は、とある男性をモデルにしているせいだと説明する。

 打開策を探る揺香に、広瀬はデートに見立てた1日取材を提案する。


 取材は順調に進み、距離も縮まる2人。

 しかし、目の前の広瀬と、頭の中の『先輩』の行動のズレや違いが気になってしまう揺香。

 そして、それを察した広瀬は、モデルの正体は『雨ヶ谷先輩』ではないかと問いただす。


 『先輩』の名前を言い当てられ、混乱する揺香に、広瀬は自分が高校の後輩で、とある接点から揺香の恋心を知っていたことを明かす。

 揺香も自分が『先輩』に囚われている理由を話し、『先輩』から卒業しようと決意する。


 絆を深めた2人だったが、とある文学賞で『先輩』と同姓同名の受賞者を見つけ、授賞パーティーに潜り込む2人。

 そこに現れた受賞者は、『先輩』と生き写しの男だった――