「私の為に、死んでくれませんか?」 ~君が私にキスしない理由~

作者キイロ結衣

「どうかお願いします!私の為に、死んでもらえませんか?」

前世の記憶を失くしたまま、死後の世界で目を覚ましてしまった綾月(あやづき)利映(りえ)。
彼女は目標実績を達成すると自分の願いを叶えてくれるという約束を信じて、株式会社Far Far Awayの営業職、つまり「死神」になる。

「死神」の…

片手は胸に、片手は口に囚われ、身動きが取れない。そして認めたくないけど、だんだん私の気持ちも変になる。


どうしても、想像してしまうのだ。この胸を生で触ったら、この舌が私の体を舐めたら、と。


そういうことを考えている間、私達の体は徐々に密着し、気づいたらもうキスできるくらい近い距離になっていた。


指から口を離した彼がおでこを当て、小さな声でつぶやく。




「…まだ、キスはしない」


「…しないんですか?」


「…そう、キスは大切だから。君が本当に望むまで、絶対しない」




ー本編から