初恋のショートケーキ

作者木通瑠李

高校生の溝田綾〈ミゾタリョウ〉は親友の早川紫乃〈ハヤカワシノ〉の失踪をきっかけに、彼女の秘密を知ることになる。大切な人への思いを知った時、リョウは何を思うのか。2人の少女の甘く切ない青春ラブストーリー。

「私が死んだら、ショートケーキを食べてね。」

「まぁた始まったよ。今度は突然何ですか?」

呆れた顔をする君に素知らぬ顔してさらに続ける。

「突然でもないよ。ずっと思ってる。私が死んだら特別甘いショートケーキを食べて欲しいって。」

「私に拒否権はない感じね。ま、良いけど…なんで?」

予想通りの返しをしてくる君に笑いが込み上げる。

いや、君のレスポンスを予想できる自分が面白いのかも。

どちらにしろ私も君も単純だ。

「私の好きなものを食べて、私を忘れられないようにするため。」

「ふはっ。独占欲の強いことで。」

その答えも予想通りだ。