顔が醜いから婚約破棄された男爵令嬢は、森で昆虫男爵に出会う。

作者ありま氷炎

美しい男爵令嬢ジャスティーナは、その気位の高さが仇となり、魔女の呪いによって醜い顔に変えられた。その醜さのあまりルーベル侯爵子息には婚約破棄され、それまで優しかった父の態度は変わり果てる。彼女は家を飛び出して森へ迷い込んだ。そこで偶然昆虫男爵イーサンに出会ったことで、彼女の世界は変わっていく。
「…

 悪い事すると昆虫男爵に連れて行かれるよ。

 大人たちは子どもたちにそう言い聞かせる。


 昆虫男爵、森の中に住む昆虫そっくりの男爵。

 それは噂ではなく、事実であり、その血は絶える事なく受け継がれていった。


 森の中の屋敷、魔法具で守られた穏やかな場所で、その子は誕生した。

 父親と同じように昆虫そっくりな顔で。


 彼らの一族は森でひっそり暮らす。

 この子も同じ道を歩むはずであった。


 ところが、それから二十年後、彼は運命的な出会いを果たす。


 彼女の名はジャスティーナ・ホッパー。

 金色の髪の青い瞳のとても美しい令嬢だった……。