不器用なあの子

作者月 陽陰

林田良一は、叔父のカフェで住み込みのバイトをしている19歳フリーター。高校1年から世話になっている叔父の姿を見て、調理師専門学校への進学希望があったが、甘え下手からそれを伝えられず自分でお金を貯めて通おうと考えていた。
飛鷹秋墨は、友人の店に客として通う間に不器用そうに生きる良一の姿を見ていた。仕…

林田良一は、叔父のカフェで住み込みのバイトをしている19歳フリーター。高校1年から世話になっている叔父の姿を見て、調理師専門学校への進学希望があったが、甘え下手からそれを伝えられず自分でお金を貯めて通おうと考えていた。

飛鷹秋墨は、友人の店に客として通う間に不器用そうに生きる良一の姿を見ていた。仕事はきっちりこなしてはいるが、困りごとを叔父には話せない良一。カフェの店長であり友人の林田誠からも、良一と距離を置かれているという愚痴を聞かされていた。

ある日、良一が誠に頼まれて秋墨の家にデリバリーに行った時、思い立った秋墨は良一を部屋に招き入れた。そして、お金を貯めたい良一にハウスキーパーのバイトを持ちかける。良一と誠の仲を取り持てれば、世話になっている誠への恩返しになると考えたのだ。

だが、次第に良一を可愛いと思い始めてしまう秋墨。良一の両親は幼い頃に離婚し、仕事一筋の母親の愛情不足で甘え下手になっている良一。そんな良一が、初めて甘やかしてくれる他人に懐いているだけだろう。そう思いはするが、愛しさが募っていく。