野の花に愛でられて

作者横浜流人

老画家は、和装の芸子の見返る姿を描く日本画の巨匠である。その描かれた表情は一様に暗いものであった。モデルが画家をどう見ていたか。
その娘の幸の母は、心労で亡くなっている。幸の弟は、生まれた時からの脳障害で、現在も施設に入っている。幸さんは今、父、老画家と二人暮らしである。老画家の最後にかいた絵は、…