この世とあの世の境には大きな川があると言われている。その畔に佇む瀟洒な館の主は、『忘却の女神』と呼ばれている存在。あの世からこの世へ再生する前に、人々に『忘却の薬湯』を飲ませて、記憶を消す役割を担っていた。

 そんな彼女の館には、たくさんの風鈴が飾られている。それは、彼女が道楽で集めた記憶たち…