巡りくる季節の途中で

作者佐々森りろ

 小さい頃にこの場所で出会ったあの子は、あたしのヒーローだった。

『きみ、つよいね。リクは、よわい子だから』

 春の満開の桜も、夏の蝉時雨の暑さも、秋の木漏れ日の落ち葉も、冬の積雪の冷たさも、全部ぜんぶ通り過ぎても、もう、あの子に会えることは、なかった。

 巡りくる季節の途中、また会えたと思…