VIP 〜顔という二つの資本〜

作者東雲ラビリ

ずっと、知らなければよかった。
私たちが、ブスだってこと。
…そうすればこんなに辛い気持ちになんてならなかったのに。

双子の姉妹、「美彩(姉)」「実菜(妹)」は、性格こそ正反対だが、顔は瓜二つのそっくり。
積極性がありハッキリとサバサバしている姉の「美彩(みさ)」、消極的でおとなしくマイペースな…

その扉を開けて、過去一胸の高鳴りを感じた。


爆音で鳴り響く軽快な音楽、

一心不乱に踊り乱れる若者、

ミラーボールとレーザー光線。


心臓の鼓動が刻まれるビートに追いつき、眩しすぎる光線は身体中を駆け巡る。


こんな場所がこの世にあるなんて。

このことをきっと井の中の蛙と言うんだろう。



ここは、クラブ「VIP」。

誰もが自由になれる場所。なりたい自分になれる場所。


天国であり地獄のような、

ずっと知りたくて、でも知りたくなった場所。