財閥系大企業の御曹司である嶺人と婚約が決まった社長令嬢の美雨。
しかし、美雨は知っていた。
この結婚はあくまでも会社のための政略結婚。
嶺人は美雨ではなく、姉のことが好きなのだと。
それなのに——
「やっと……やっと美雨を手に入れられた」
嶺人はまるで美雨を愛しているかのように甘く振る舞う。
優しくされればされるほど、美雨の心は切なく締めつけられる。
なぜなら——
(責任を、感じているのでしょう?)
十年前、
事故に巻き込まれて動かなくなった、
美雨の足の責任を。