追憶の愛情 ~想い出せない貴方へ~ [完]

作者HARU

父親が残した借金を返す為に
大学を諦めデリヘルで働いている
私の名は佐原(さはら)柚月(ゆづき)。

いつものようにホテルの一室に向かい
初指名された人と顔を合わせた瞬間

細い切れ長の目が印象の
綺麗な顔立ちをしたイケメンに
目を見開かれ
同時に切なそうな顔をされた。

「はじめまして。"花"で…



「生活に必要な分のお金は

俺がいくらでも出す。

だから仕事はやめて俺1人に奉仕すればいい」


デリヘル穣として

初指名を受けたお客さん。


まだ顔を合わせただけなのに

唐突によく分からない契約をされたと思えば



「…俺を早く思い出してよ」



"響"と名乗る彼はどこか切なそうな表情で

会う度に私を抱き締めながらそんな事を言う。


私達は初対面なのに

一体貴方は私を誰と勘違いしているの…?