完結おめでとうございます。時間を少しあけて二度読みました。ディテールにこそ艶、恋情、秘密、登場人物それぞれの存在がやどるのだなあと、美しく、ときに鋭い春名さんの文章に、いつものことながら終始虜になってました。今作も、とてもとても好きでした。公園で食事をとるところやこたつを組み立てるところなども、シーンとしてすごく好きで映像として目に浮かびました。個人的にはフィクションにおいて躊躇なく酷い男が好きなので知音くんには心臓をずっと掴まれていたのですが、それ以上に花深の覚悟をきめたある行動が物語の流れとして本当に面白くて恋愛をやっているのだなと心臓の置きどころ定まらず、最後までどきどきさせられました。それだからこそ本編のさっぱりとした終わり方もよくて、春名さんの物語の終わり方って本当に素敵だと改めてしみじみ思いました。ナルキッソスの殉情というタイトルにもそういうことかと興奮しました。「果南くん、知音くんを置いてどこにも行かないであげてね」この台詞はきっと読むごとに奥行きがますだろうという確信があります。心に深く残るドラマチックな物語を本当にありがとうございました。