どんなに悲しくても、涙はあったかい。摂食障害、強迫性障害と共に生きる1人の女子高生の話。普通の女の子の普通じゃない人生を、おひさまはやさしく照らす。

病気になって入院してから初めての外出が許されたあの日。


私は母さんと病院の近くの動物園に行くことにした。


そこで本当に久しぶりにおひさまの光を浴びたんだ。


感動したとか涙が出たとかじゃなくて、ただただほっとした。


あったかくて、身体中を流れる血が喜んでいるのがわかった。


そこで不意に「あぁ、生きてるなぁ」って感じたんだ。


いろんなことがあったけど、私、生きてるなぁ、って。


そして、そのことに大きな喜びを感じている私に驚いた。


今まで自分が「生きている」ことになんて無関心だったから。


生きてる?そんなの当たり前じゃん。


そう思っていた。




思えばおひさまはいつも私たちのそばにいてくれた。


痩せて骨と皮だけになった私を、おひさまはやさしい光で包んでくれた。


夏はちょっと嫌われ者だけど、苦しくて横になっていたとき、窓の外が明るいとなんだか励まされているみたいだった。


もしかしたら無意識のうちにもう一度おひさまが見たくて入院を決意したのかもしれない。




あれから1年が過ぎた。


病気はほとんど治ったけど、これからもいろいろ辛いことはあるだろうし、今だって悩みはたくさんある。


だけど、私にはわかったこともある。


どんなに悲しくても、涙はあったかいってこと。


おひさまみたいに。