「はぁ」と私は小さくため息をついた。
今日は高校二年目の初日。
クラス分けの日である。
そんな日にため息というのはなんとも陰鬱な気持ちにさせるのだが、私―藤守 千代―にとってはどうでも良いことだった。
この学校では進学の二ヶ月後に修学旅行が待ち構えている。
つまりこの日は高校生活最大のイベントの一つを共にする仲間が分かる日でもある。
友好関係を築くのが苦手な私にとっては苦痛でしかないのだけれど。
なんとか自分のクラスを見つけて教室に入る。
担任となる教師はH.Rを終わらせると早々に言った。
「さっそくではあるが明日からは修学旅行のグループ作りをすることになる。
基本的に男子2人、女子2人の四人グループなんだが、このクラスは女子がひとり少ないため、男子2、女子1のグループを一つ作ることになる。
それを踏まえたうえで明日素早くグループを作れるようにしておいて欲しい。
以上、解散」
体格の良い男の先生―槙田先生―はその長文を言い切るとさっさと教室を出て行った。
グループか…どうなるんだろ
~翌日~
ここは教室。
朝のH.Rが終わる寸前。
一時限目からいきなりグループ別けが入っている。
「グループを作れ~」
という先生の声で一気に教室が騒がしくなる。
近くにいたブロンドの女子が言った。
「ねぇねぇ。あの二人、カッコよくない?」
「あの二人?」
そばにいたショートカットの女子が答える。
「あぁ。紅沢君と白本君ね」
「そう!それ!!私、あの二人と組みたい」
それって言い方は失礼じゃないかな?
話題の主たちを―つまり隣の席を見ると青みがかった少し髪の長い少年は顔をしかめている。
隣に立っている方はニコニコと笑いながら「まぁまぁ」と彼を諌めていた。
右目を髪で隠している彼―紅沢君は私の視線に気付くとこちらを見て軽く頷いた。
どうしてだろう?それが当たり前のように見えた