ねぇ…ジュリエット。

僕は君が知りたい。

どんなに眩しいハッピーエンドよりも

僕らはきっと残酷な終わりが何より好きだろう?

「ロミオ…

 あなたはどうしてロミオなの?

 その家名をお捨てになってくれたなら、私も家名を捨てられるのに」

悲痛に歪むジュリエットの頬を涙が伝う。


「それならただ一言…

 僕を恋人だと言ってください。

 その瞬間僕はロミオではなくなります」

ただ君を、愛してる――


塀を隔たりに愛を語る二人。


それは儚く美しい、終焉の予言。


「なぜここに…

 見つかれば殺されてしまうのに」

可憐な薔薇が見せ始める憂い。


「あなたへの想いでこんな塀など乗り越えてみせましょう」

もっと、君の傍へ――


迫真の演技は藍のかかったステージの上。


42時間の終わりを待つジュリエット。


毒薬により息絶える前にジュリエットにキスをするロミオ。


自らの胸を短剣で刺しロミオを追う、ジュリエット。


鮮やかなと折り重なる二人の身体。


ワァァァッ……


漆黒に包まれる客席から止まない拍手喝采。


ジュリエット、君は多くを語らない。


セリフだけをその瞳で、その口で。


舞台の上で見せる感情は全部…


あらすじをなぞっていただけ――




ねぇ…ジュリエット。


僕らはきっと


残酷な終わりが何より好きだろう?