相哀傘

アオイ

2011年7月4日

雨の日の相合傘。作者さまの経験を元に描かれた、切ない恋愛短編小説。 大輝に想いを寄せる砂羅の繊細な恋心が、雨の日の情景とともに綺麗に描かれていました。 人見知りの砂羅がバスの中で下級生に話し掛けるのは、かなり勇気が必要だったと思います。 その勇気があったからこそ、現在がある……。 かけっこや相合傘をしながら学校を目指す砂羅と大輝。 幼い頃の微笑ましい通学風景も、上級生たちのからかいで一瞬にして奪われてしまう。 そういった小学生ゆえの繊細さや傷つきやすさが細かく表情されていて感情移入・共感しました。 砂羅の弟が《「あ、それとね。大輝くんが、お姉ちゃん○高だっけ?って聞いてきて、頷いたら、頭良かったんだなって笑ってたよ」》と言う部分が、最も切なく悲しい場面だと感じました。 大輝が偉大な野球選手になりますように。 作者さまの恋の思い出が、綺麗なものとして心に残りますように。 思い出と向き合うのはかなり気力が必要で苦しくもあったと思います。 そんな中、素敵な作品を書いてくださり、本当にありがとうございました。