『サグラダ・カフェ』

作者鍛治 揚羽


小さな小さな


少し古ぼけたそのカフェの一角に


しかし堂々と


その時計は存在した。



今時珍しい と

ある人は言った。


からくり時計。


しかし気まぐれに

ある時は三時にその音を鳴らし

ある時は十二時にその音を鳴らした。



この物語は

その時計が見てきたものたちを語った。