晴菜ミク

寓話的要素を持った大人の物語
確かに、いろいろと考えさせられる作品です。が、この物語を、単なる社会風刺のための寓話と捕えてしまうことは出来ないと思います。

人間と動物。同じ地球というフィールドの中で生きながら、それぞれの社会的ルールの上で、“仕方がない事”はいやが応でも存在し――

飼い猫健太と野良猫のクロは、互いの生き方、ものの考え方を認め合うことによって、さまざまな形で動物に関わろうとする人間の愚かさや身勝手さ、温かさや優しさを知ってゆきます。

物語のラストで、野良猫クロが、本当に自分を必要としている人間のもとへ行くというシーンは泣けますね。

人間と動物、それぞれの視点から、真の共存とは何かを静かに見つめた感動作です。