麻井深雪

短編とは思えない濃い内容
短編とは思えない程、内容がぎっしり詰まっていてしかも深いお話です。

冒頭の出会いからカノンとセツナの悲しい運命を感じさせ、カノンが記憶を失いセツナやウィルと打ち解けて行く様子は優しく穏やかなのにどこか悲しい気持ちになりました。

可愛らしい意地悪を言うセツナ。
空色の瞳の無邪気な少年ウィル。
2人がとても魅力的で、主人公のカノンが心を許して行く様子にとても共感できました。

物語が動き出してから衝撃のラストまでは胸に痛く、悲しい思いで一杯になりました。
命の大切さ、生きるということの意味を改めて考えさせてくれます。

カノンの決断は最初、カノンはそれで満足かもしれないけど、セツナがあまりに辛すぎるんじゃないかと納得いかない部分もありましたが、最後の手紙を読んで初めて前向きになるセツナを見て、こうすることでしかセツナを救えなかったのかもしれないと思えました。

『自分を諦めないで』

カノンの想いが込められた一言が胸に響きました。

カノンがセツナのファミリーネームを名乗るところがセツナへの愛情を感じさせてとても好きでした。