麻井深雪

人は人でしかない
世界の存続に審判を下す力を持つ"アーシアの愛し子"アリシアの世界を知る旅の最終部。

ついに戦争は起こり、アリシアは仲間と共に戦場へと赴きます。
蘇生能力を失ったアリシアに悲しみを秘めたティミス。
何か悲しいことが起こりそうな雰囲気に、誰も死なないで…と思いながら読み進めました。

敵国の友人アウルとの命の対決。クォールを庇って瀕死の重傷を負うアリシア。

そして予想通りのティミスの決断に、胸が痛みました。
最後でもメルト、いい仕事をしましたね。
実は辛い過去を背負っていた彼女が、強くて正直で可愛くて、とても素敵です。

"審判"は予想に反して、"アーシアの愛し子"としてはあり得ない、未熟で独りよがりなものでした。

でもだからこそ、"神の子"と呼ばれても、人は人でしかないのだと…、
だからこそ人は支え合って、想い合って、そこには希望があるのだと思わせてくれる、人間の素晴らしさを感じさせる感動のラストでした。

恋愛模様も甘々ではなく、爽やかに、まだみんな発展途上なんだと、続きを想像に委ねるようなラストで、とても爽やかな読後感に浸ることができました。