風津

弱さと強さ
人間の弱い部分と強い部分、その両方が綴られた

切なく、でも優しくて力強い物語です。


主人公は、結婚まで考えていた相手から裏切られ捨てられた女性。その傷心を癒して欲しくて、その寂しさを紛らわして欲しくて、路上で歌を歌う男の人に「抱いてくれ」と頼みます。涙を流しながら、弱りきった心で頼むその姿には胸が締め付けられました。


でも、たとえどんなに辛いことや悲しいことがあって心が弱りきっていても、また再び立ち上がって前に進むことが出来る。この小説を読んで、「あぁ、人間って強いな」と感動しました。


もちろんひとりぼっちでは立ち上がることはできません。
ヒトとの出会いや言葉で一歩動き出すことが出来るんです。


この物語で動き出した主人公と男のヒト、これからどんな道を歩んでいくのか、とても続きが気になる物語です。