麻井深雪
どうかハッピーエンドを…
普通の生活をしている主人公が異世界へ飛ばされてしまうファンタジー。
異世界で出会うヤンチャな印象のエルヴァと静かな金髪美青年のシリル。
王道パターンからいって恋のお相手はエルヴァかなと想像しました。
そのつもりで読んでいただけに、シリルが造花の飾りを買って来た時は意外で、冷たそうな印象だっただけにそのギャップにやられました(笑)
そして恋人と親友に裏切られていた美咲が、『疑って真実を見失うのはもう嫌だ』と成長していく姿は健気で心を打たれます。
そしてシリルと心を近づけて行くシーンでは、シリルがかなり年下だと知ってショックを受ける美咲に、造花の飾りが「頑張れ」と励ますように揺れていたなどクスリと笑える表現も良かったです。
やがて明かされる二人の運命はまるで人魚姫のようで胸につまされました。
これから明かされるであろうシリルの過去。
美咲とシリルがどういう選択をするのか。
異世界の二人なだけに全て丸く収まるハッピーエンドなんてないのかもしれませんが、悲しい運命に導かれて恋をしている二人なだけにどうかハッピーエンドを…と願ってやみません。