知佳
負の感情から始まった物語
異世界トリップの主人公にしては珍しく25歳という美咲。まずこの設定が異彩を放っていました。
恋人にふられ親友をも失い……そして導かれた異世界の中で、悩み苦しみながらも思いを貫こうとする姿に、後半は感情移入して切なくなりました……!
設定もきちんと決められているというのが読んでいて伝わり、世界観に矛盾なく淀むことなく読むことができます。
それぞれが抱える気持ちと向き合う、負の感情と向き合う、そういった部分もこの作品の魅力だと想いました。
イエラの涙という、夫を殺された呪いの篭った玉。設定も壮大な部分があり、それをきちんと生かしきれているなぁ、と読んでいて圧倒されるばかりでした。
ただ、もう少しゆっくりペースで美咲とシリルの恋心の芽生えを描いてもいいんじゃないかぁ、と想いました。
何はともあれハッピーエンドで終わりほっとしています。
文章も流れるように、くどくなく整っていて非常に読みやすかったです(^^
ファンタジー好きな方も、そうで無い方も楽しめる作品かと想います。