まり――鞠。

鞠はね、あたしにとっての始まりなの。


―――小さな恋の始まりだったの



「まり」



遠方で、あたしの名前を呼ぶ音が聞こえる。



「まり」


今度は近くで。





まり――鞠。



あたしにとって



“鞠”



は、とても好きな言葉。



だって兄様が付けてくださった名前だから。



まり――鞠は、



あたしに沢山の事を教えてくれた大事な物だから。