玉響の桜〜愛し君へ〜後編

作者はる

時は戦国時代末期…九州最強と呼ばれた戦国大名・島津家。

島津家を継いだ夫である島津久保が無事に小田原征伐から帰還し、夫婦に幸せな日々が戻る。

幸せも悲しみも、共に分かち合ってこの戦乱の世を生きていこうと誓って。

だがそんな二人を引き裂く、豊臣秀吉による朝鮮出兵の足音が無常にも近づいてきていた…


「—————もしもいつか

突然俺が君の前からいなくなったとしても

俺はずっと君だけを想ってるから。


400年後…未来で待ってるから。


だからまた、生まれ変わっても


——————俺と巡り逢ってくれる?」








そんな約束を愛する君と結ぶことを

俺はただ、乞い願う。






いつか俺に戦国ここで生きるタイムリミットが来て

400年という果てしない時を隔て

令和と戦国で

離ればなれになってしまう日が来ても。






どうか生まれ変わった君に

また出逢えるようにと。







ただ、強く願う。




 



そう遠くない未来…


俺はきっと、君を一人にしてしまうから。






だからその代わりに、俺の全てを捧げよう。






君をこんなにも愛してしまった。






手放せなかった。






そんな愛すべき罪に

この身は捧げて構わないから。







美しく咲き誇る勿忘草の中で

俺の全てを捧げて。







そして君に贈る。



 





時を越える永遠の愛の約束を…








————————愛し君へ。

 














※史実を元にしたフィクションです