これから毎年…
来年も再来年も
共に老いるまでこうして一緒に桜を見よう
待ち侘びたこの春をずっと共に迎えよう
はらはらと、盛りの桜が舞い散る。
それを見ながら彼は小さく微笑んだ。
…だが今は乱世
私は武家の名を背負う限り…
いつ死ぬかわからない
そう言ってゆっくりと開かれた彼の手から
桜の花弁が風に誘われて飛んでいく。
それを見送った彼は、優しい瞳で私を見た。
——————例えこの命尽きようとも
私は永劫亀寿だけを想っている
だから何度死に別れても
またそなたと
今日のこの日を迎えたい——————
この儚い戦国の世で
二人きりで桜舞い散る祝言の夜に交わした
永遠の約束を
貴方はずっと…叶え続けてくれている。
※史実を元にしたフィクションです