双刻のヴァンパイア降る荒野――リズミサの詩

作者いすみ 静江

リズミサは、姉でもあり妹でもある。
姉が墓場からよみがえったから妹にもリズミサと名付けたと聞く。
ここは荒野。
二人は、媚薬を売り、姉は夜の仕事に苦しみを覚える……。

荒野に迫りくる恐怖


荒野にも逢魔が時が襲いかかる


あなたは、リズミサ

私の姉


あなたは、リズミサ

私の妹


私たちは、荒野で水を売る

媚薬だとひとの言う


昼、働くは、妹のリズミサ

夜、働くは、姉のリズミサ


父さん、何故、姉さんと同じ名なの


妹、リズミサ

驚くことなかれ


姉のリズミサは幼き頃一度亡くなった

コルンダの丘に埋葬すると

地から這いあがってきた

腕をずうっと出して


母さん、何故、妹が昼働くの


姉、リズミサ

我慢しておくれ


妹のリズミサは幼き頃高熱を出した

もう男衆の相手はできないのだ


お前のの稼ぎはいい

流石じゃないか





さあ、この世はヴァンパイアの時代


荒野に吸われし赤い血を


したたる程に舐め合う姉妹



逢魔が時――その刻

昼夜すれ違う二人を知るならば


生きてはいられないと聞く


生きるはヴァンパイアのみ……



――荒野にヴァンパイア降る双刻



あなたの背後から迫る


ひとひとと

ひとひとと


遠くから

近くから


手の糸で寄せてくる……




* *


2019/04/01-2020/07/19



いすみ 静江