[花崎透旋について]


綺麗だ。芸術だ。まるで精巧な人形だ。

現代に舞い降りた天使

この世のものとは思えない美貌

繊細な指先は旋律を奏でるために

神が与えたものだろう。



――なんて馬鹿馬鹿しい!




「戸羽美歌は勘違いをしている。自分は花崎透旋の“おまけ”だってな。――だが、真実は違う。“おまけ”はお前の方だ。戸羽美歌がいなけりゃ何も出来ない」



聞きたくない。知りたくない。

それは、大事にしてきた、真実の箱。

だれも、教えてくれなかった。

当たり前を美歌ちゃんがくれた。



【2013年10月22日 執筆/完結】

※慌ただしい彼女の一日と同じ舞台です。