碧井 雪乃

幽霊の悲しみと人間の狂気
ホラー小説と言うと、「怨み」「復讐」などの恐怖感が先立ちがちだが、この「音楽室の幽霊」では、この世に未練を残して死んでしまった少女の深い「悲しみ」が色濃く表現されている。

恐怖を感じるとしたら、それは生きた人間に潜む「狂気」。

昨今、人の痛みを何とも思わない凶悪な事件が多い中、生きた人間が持つ狂気程恐ろしいモノはないと感じさせる作品であったと思う。

出来ればじっくり2回は読んでもらいたい作品だ。