柚子暇
互いに想い合う2人の微笑ましい日常のひとコマ
落ち着きがあり、懐の深さを感じさせる廉と、花も恥じらう乙女のような美沙。
作品内の空気が始終温かく穏やかで、読んでいて優しい気持ちになれる作品でした。
廉の話に素直に聞き入る美沙が可愛らしい。
それから個人的に、2P目で廉に惚れました。
藍羅さんの他作品を未読なものですから、あとがきに書かれていたように、色々疑問も持ちました。
八咫鴉というから3本足の鴉が人間を嫁にした怪異話かと思ったら、どうやら“廉”は人型らしい…とか。
妖のところに嫁に来るというのは、人間としては抵抗するんじゃないかと思ったら仲良しだ…とか。
人間が人魚の肉を食べるなんて、抵抗があったんじゃないの?…とか。
この作品は他作品の番外編のような位置づけなのかなと思います。
ただ、企画小説ということもあり、企画の扉から訪れる閲覧者もいるでしょうし(私のように)、できれば未読でも読めるように書いておいてほしかった。
もしくは表紙に、この短編の登場人物が他作品に既出である等の断り書きがあれば親切かな、と思います。
ですが、そのために尚更、藍羅さんの他作品も読んでみたくなりました。