ー拝啓、父上ー

 この世界には、どうして濁りという言葉があるのですか?

 ボタンのように混ざって黒くなり、世界が見えなくなるのは何故ですか?

 「汚れた黒とはいたくない。」と言われるのがすごく怖いです。

 こんな残酷な世界から、綺麗だった時代にもどればいいのに。どうしたら幸せな世界になりますか?


 ー圭ー


H25 一月

高校一年の冬

ボクは誰とも混ざり合うことはできない。

「圭はいつもクールだよな。いつも混ざろうとしない。」

「しないんじゃない、できないんだよ。」

「あ、そだった。」

新はボクの親友で理解者だ。混ざり合うたびに世界が見えなくなる病気【網膜色彩病】もすぐ理解してくれた。

「そいえばお前今日インするだろ?」

インとは高校の中で流行ってるオンラインゲームフェアリーライドのログインのことだ。

「勿論するさ」


 放課後

インをすると見知らぬアカウントからフレンド交渉の手紙がきていた。

「ブライト?」

ページを見ると本名がかいてある。【ブライト】というアカウントはクラスメイトの白騎光梨のものだった。

学校では完璧女子、学校姫ともいわれる美人な優等生が何故FRをやって僕にフレンド交渉をしたのか

謎に包まれたまま本日の活動を終えた。


 翌日、僕は白騎光梨に呼び出され学校の屋上に行った。

「白騎さん、ブライトって君だよね。君みたいな子がどうしてオンラインゲームなんか。」

 白騎は少し照れているのか、頬を赤くして僕に告げた。

「私、ゲームとかすごい好きなんだ。でも、友達はみんな興味ないみたいだし。」

 すごく悲しげな表情をしていたが、僕に笑顔でふるまっていた。

「黒江君がFRやってるって知ってたからそれで。ごめんね、嫌だったらべつに。」

 僕は逆に嬉かった。誰とも混ざり合えない僕に混ざり合おうとしてくれたこと。だからノーとは言えなかった。

 その話は二人だけの秘密となり、ゲーム友達というジャンルで関係がうまれた。